オペラは友達
鈴木敬治
今月から「オペラは友達」のタイトルで寄稿することになりました。現在はオペラ歌手として活動しております鈴木敬治です。
思い起こせばわたくしのオペラとの出会いは、小学生のころNHKでオペラの特集が時々ありそのナレーションを下重アナウンサーが務められていたことを覚えており、その中でもモーツアルト作曲の「魔笛」はその不思議なストーリーと歌声にわくわくしたのを今でも覚えております。その結果、結婚して子供たちが生まれ、魔笛が常に家中に響き渡っていたころから、いつしか魔笛の「夜の女王のアリア」(通称:夜女)が我が家家族5人のテーマソングになりました。
小学生のころ、テレビはまさに今の子供たちのスマホに匹敵する存在だった気がします。その番組の中で柳家金語楼主演の「私は女中のお寅さん」やNHKの「お笑い三人組」などで笑いや舞台芸術にあこがれを持ったのを覚えています。
しかしオペラそのものはとても遠いもので、まさか自分でその真っただ中に入るなど、夢にも思っていませんでした。入学式が大学紛争で取りやめとなった、東北大学の混声合唱団に入団して、NHKの放送合唱団にも所属していたころ、どうゆう経緯かは忘れてしまいましたが、共産党の主催するオペラ「沖縄」の仙台公演に合唱団に一員として参加したのがオペラアの初出演でした。「おきーーなわをかえせ、おきーーなわをかえせ」というフレーズを覚えておられるかたもおられるかと思います。
今や年末の恒例となっている、第九に初めて出演したのもこのころで、若き日の秋山和義率いる東京交響楽団公演に合唱団の一員として参加したのもこのころでした。いずれこの体験がつながる不思議なご縁があります。
仙台ではオペラが上演されることはまずない状況で、何年生のことかは忘れましたが、「スペードの女王」を聴きに東京文化会館に夜行列車に飛び乗っていったことも思い出されます。予習もなく聴きに行ったので、何が何やらわからないまま終わったオペラ初経験でした。
ところでオペラ活動もコロナのおかげで多くの公演が延期、中止となり、また多くの仲間が感染したりで、大変なこの3年間でした。もうそろそろいい加減に収束してほしいというのが本心であります。その中でもいくつもの公演を実施させていただきました。これらも含めて次回以降はオペラにまつわる話題を提供できればと思います。