ワインビネガーの風味
ペンネーム 月賀カワル
上の娘が久しぶりに上京して、我が家に顔を出すと言ってきた。父の日にちょっとしたプレゼントを用意したという。家内も、懇意のミートショップで腸詰とうまそうなドイツビールを買い込んでいるそうな。ならばお礼の一品を食卓に披露しよう。頭に浮かんだレシピは、大慈彌氏ご紹介の『豚肉ときのこのビネガー風味』である。これは手軽に作れておいしそうだ。
早速駅前へ出かけ、豚バラ肉とキノコ、それに付け合わせの野菜を仕入れてきた。豚バラは、焼き肉用の比較的厚めのものから、薄く切ったしゃぶしゃぶ用までいろいろとある。今回は軽い食感を狙ってしゃぶしゃぶ用を買い込んだ。
大慈彌氏提供のレシピに従い、まずフライパンに肉を並べ、焼き色がつくまで強火で焼く。レシピでは焼き肉用のバラ肉を指定しているが、今回は薄いしゃぶしゃぶ用だ。ベーコンほどではないが、少し時間をかけてカリッと焼いてみた。
網に取り出して肉のあぶらを切る。フライパンに残った豚の脂でキノコを炒め、豚バラを戻し入れてニンニクも入れる。白ワインビネガーを加えると、おいしそうな香に包まれた。
肉とキノコを大きめの皿に移し、島チシャを添えて出来上がり。見た目は和風だが、白ワインビネガーの独特の風味が不思議な調和を醸しだしている。
ビアソーセージとドイツビールに加えたこの一品、軽めの肉の触感に家族の評価も上々である。大慈彌氏に感謝!
娘たちからのプレゼントは、リストバンドとテニスソックスだった。古希を過ぎても、半日テニスコートで走り回っている父親を、娘たちは応援してくれている。しかし、本音では私はテニスがこわい。半日走り回っても、いっこうに上達しないテニスが、心底こわい。
ビールを片手に、家内と娘のとりとめもない会話を聴きながら、「テニスこわい」とつぶやきながら、ふんわりと夢の中に誘い込まれていった。
<<「私とテニス」へ続く>>