豪雪地帯の尾瀬周辺には、なだらかな山の上に高層湿原が発達し、地塘と呼ばれる小さな沼が多く見られる。地塘は植物が泥炭化してその隙間に水が溜まってできたと言われる。尾瀬、会津駒ケ岳、平ヶ岳など尾瀬周辺の高層湿原にある池や地塘、周辺を彩るお花畑を紹介する。
1.尾瀬 ニッコウキスゲ、キンコウカ
7月中旬、梅雨の最中で小雨降る中、大清水から三平峠を越えて長蔵小屋に入り、翌日尾瀬沼周辺を見て廻った。大江湿原に出ると、黄色のニッコウキスゲが迎えてくれた。尾瀬沼から沼山峠下まで長さ1.5km、幅25mに広がる大群落は壮観だった。
尾瀬ヶ原ではミズバショウ、リュウキンカの群落が有名であるが、シーズンになると登山者、カメラマンで混雑するので見に行っていない。
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大江湿原 ニッコウキスゲの群落 |
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ニッコウキスゲ |
燧ヶ岳には8月上旬、秘境・桧枝岐の更に奥にある尾瀬御池から登った。ブナ林を抜けて広沢田代や熊沢田代まで上ると地塘が散在し、シラビソに囲まれた湿原にキンコウカ(金光花)の群落が朝日を受けて黄金色に輝いていた。
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キンコウカ |
2.会津駒ケ岳 ハクサンコザクラ
8月上旬、平家の落人部落と言われる桧枝岐から会津駒ケ岳に登った。登り初めはブナ林、中腹はシラビソの針葉樹林、森林限界を越えると突然目の前に会津駒ケ岳が姿を現して驚いた。行く手に駒の小屋が見えてくる。
小屋の前に駒ノ池が満々と水を湛え、周りの湿原に鮮やかな紅色のハクサンコザクラ(白山小桜)が一面に群生していて見事だった。
会津駒頂上直下の斜面には白いカラマツソウ、黄色のミヤマキンポウゲなど様々な種類の小花が咲くのが見られるた。中まで入って花名を確認できないし、同一種類の群落に比べて見劣りするのは惜しい。
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駒ノ池 ハクサンコザクラの群落 |
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ハクサンコザクラ |
津駒ケ岳山頂から中門岳に向かって木道が長く延び、稜線上にもハクサンコザクラの群落、中門池近くの地塘に白いワタスゲが点在していた。
3.平ケ岳 ワタスゲ
7月下旬、鷹の巣から下台倉山、池ノ岳を経て平ケ岳に登った。長大なコースを辿って池ノ岳の急坂を登り切ると目の前に丸い山容の平ケ岳と浮き草が浮かぶ姫ノ池が現れた。遥々と来たものだと感動する景色だった。
この辺りは日本でも有数の豪雪地帯で、平ケ岳山腹やキャンプ場周辺には残雪が未だ多く残っていた。雪解け水が地塘や湿原のお花畑を育んでいるようだ。
姫ノ池の周りは白いワタスゲの群落。 白い綿毛のようなワタスゲ(綿菅)は花が終わってできる種子の集まりだそうで、5~6月に咲くという花はまだ見たことがない。玉子石の湿原には白色のワタスゲ、イワイチョウ、黄色のキンコウカ、淡紅色のウラジロヨウラクなど色とりどりの花が一杯だった。
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平ケ岳 ワタスゲの群落 |
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ワタスゲ |