2017年2月、スノーシューで八島湿原から霧ヶ峰の物見岩まで登った。八島湿原入口に立って霧ヶ峰を見渡すと、車山の上空に凸レンズ状の笠雲が掛かっていた。その雲は風に吹かれ、二つ連なって段々と下に動いていくのが見られた。
レンズ雲は山頂近くを湿った空気が上昇する際に、風と地形の影響で断熱冷却されて山の上に出来るといわれる。富士山頂に笠のように掛かるレンズ雲はよく知られているが、二つ連なって、風に流されて動いていくのを見るのは珍しい。
夏は入道雲、秋はすじ雲、いわし雲が特徴的でよく見かけるが、冬はどんより曇った雲が低く垂れ込めて、このようにはっきりした雲が現れるのは滅多にない。
スノーシューを着用し、左回りに湿原の畔を進み、物見岩分岐から樹林帯に入る。野生鹿が繁殖して湿原の草木を食い荒らすので、金属ネットを張り巡らして進入を防いでいる。
霧ヶ峰はかってはクロスカントリースキー、最近はスノーシューのメッカとして団体ツアーで多くの人がやって来るが、この日は平日とあて人影が少なく、スノーシューの人を数人見かけただけだった。
樹林帯の踏み跡は緩やかに、長く斜上、ジグザグを繰り返して高度がなかなか上がらない。樹林帯を抜けて直登が始まる。遮るものがないので、西風が強く吹き付けてくる。レンズ雲は上空に強風が吹く時或いは強風が来る前兆の時に現れるようだから、この日の気象条件はこの要件に合致していた。
物見岩まで上ると真下に八島湿原、遠くに御嶽、乗鞍岳、槍穂高連峰など北アルプスの白い山並みの眺めが素晴らしい。強風で寒気が顔に突き刺さり、ゆっくり休めないので、写真を撮り終えると早々に下山開始。ジグザグ道を串刺しするように一直線に下って、短時間で八島湿原に戻った。金属ネットを張った二重扉を開けて湿原の中に入り、山小屋の日溜りで風を避けて昼食。温かいカフェオレが冷えた体を温めてくれた。
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霧ヶ峰に浮かぶレンズ雲 |
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霧ヶ峰下部に下りてきたレンズ雲 |
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物見岩から 真下は八島湿原、遠くは御嶽 |
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物見岩から見た御嶽、乗鞍、北アルプスの山並み |