4.ヒグマ遭遇と幌尻川で滑る H26.9.3 幌尻岳2052m
幌尻岳は日高山脈の最高峰である。とよぬか山荘からシャトルバスで林道ゲートまで行き、額平川沿いに登る額平川コースを登った。幌振橋を渡り左岸の林道を歩いていると50m位先にヒグマが現れた。林道の右手は草木の藪の急坂、左手は川原から川へ下っている。ヒグマは林道でウロウロしていたが、見えなくなった。熊笛を吹き、左右を確認しながらゆっくり歩いた。その後ヒグマは現れなかった。
四沢出合から渡渉が始まる。沢靴に履き替えて幌尻山荘まで21回渡渉する。途中1カ所深くて流れの急な所がある。両岸に2m位の太めの木の棒が置いてある。棒を杖にして流されないように慎重に渡った。しかし、山荘に近く流れもゆるく浅い所で、ヌルヌルした石に乗り滑ってころびずぶ濡れになった。
油断大敵。河童の川流れ。
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H26.8.27 雄阿寒岳より阿寒湖を望む |
5.雪渓で滑落 H27.6.24 会津朝日岳 1624m
山頂直下の急坂に約20mの雪渓が残っていた。表面は一部溶けている所があり、6本歯アイゼンを着用し、溶けてないざらめ状の所を注意して登った。下山時に上りとは違うルートに来てしまった。引き返すために向きを変えるのは難しく上りのルートへトラバースしようとしたが、アイゼンの爪が氷に入らず約10m滑落した。幸い怪我はなかった。アイゼンを履いてない登山者は雪渓を遠回りして土の部分をできるだけ下まで歩き、雪渓を約10mの高さから尻をついて滑り降りていた。
今回は約20mの雪渓で幸いであったが、白馬大雪渓のように長い雪渓が氷結している場合はどこまで滑落するかわからないので諦めて引き返した方が賢明と思う。
日本百・二百・三百名山の中には朝日岳という名前の山が4山ある。
(1)山形県 日本百名山
朝日岳(大朝日岳) |
1870m |
H25.8.10 |
往復8:00 |
(2)福島県 日本二百名山
会津朝日岳 |
1624m |
H27.6.24 |
往復6:30 |
(3)群馬県 日本三百名山
朝日岳 |
1945m |
H29.9.5 |
往復7:30 |
(4)新潟・富山県 日本三百名山
朝日岳 |
2418m |
H29.9.13 |
往復10:30 |
である。今回の滑落は福島県の会津朝日岳、標高1624mであるが、6月24日でも残雪があった。
残雪があると登山を難しくする。
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H26.9.9 白馬大雪渓 |
6.帯状疱疹を発症 H27.8.16 毛勝山 2414m
H27.5.17に大牟田を出発し丁度3ケ月経過し、二百、三百名山を既に62山登っていた。1週間前頃から頭を毎日洗ってもかゆみが続いた。私は7月24日に北海道の神威岳や25日にペテガリ岳を藪漕ぎして登ったのでダニにやられたのではないかと疑っていたが、8月17日とうとうガマンできなくなり富山県魚津市労災病院に駆け込んだ。ところが国民健康保険証の有効期限が7月31日で切れていた。新しい保険証は7月に交付されるので間に合わず、古い国民健康保険証を持って出発していた。労災病院ではとりあえず治療費用を全額支払い、大牟田に帰って大牟田市に請求するか、あるいは家から新しい保険証のコピーをFAXで送付してもらうようにしたらと言われた。いずれも面倒くさいのでもう登山は中止して大牟田へ帰ることにした。
8月19日大牟田の皮膚科の病院で診察した結果、頭にできた帯状疱疹であることがわかった。一般に帯状疱疹は胸や脇腹にできるが、身体が疲れて抵抗力が弱くなると頭にできることもあるそうである。真夏の暑い時期に3ケ月間で62座登り体重が通常より7~8kg減っていて疲れを感じていた。
YAHOO! JAPAN ヘルスケア 帯状疱疹 感染症を引用
身体の左右どちらかの片側に、帯のように水ぶくれ(水泡)の集まりができる疼痛を伴う病気で水痘・帯状疱疹ウィルスの感染で起こります。子どもの時にほとんどの人はみずぼうそう(水痘)にかかります。しかし、それが治っても、このウィルスは三叉神経(顔面を支配)や脊髄神経(顔面を除く体の皮膚を支配)の知覚神経節に、遺伝子の形で潜伏します。それが長い期間をへて、ストレスや過労などで体の抵抗力が低下すると、遺伝子の形からウィルス粒子に変わって再び活動を始め、神経を伝って皮膚に現れて炎症を起こします。これが帯状疱疹です。
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H28.7.28 大キレット A沢のコル |
7.ヘリコプターで救助される H28.4.30 野伏ケ岳 1674m
この山は男鹿岳(福島県・栃木県)、景鶴山(群馬県・新潟県)、猿ケ馬場山(岐阜県)、笈ケ岳(富山県・石川県・岐阜県)と同じく残雪期に登る山で夏は登山道がスズ竹や藪で覆われ登山困難な山である。そのような知識もなく山に入ったが、下山途中に藪に阻まれ身動きが取れなくなり、岐阜県警のヘリコプターに救助された。
岐阜県白山中居神社から橋を渡った所に駐車場がある。そこから2時間半歩いた所から地形図には尾根取付のルートがあるが、道がない。私より先に登った人も道を探していて、この先には道がないと言って引き返してきた。となると目の前の藪の中がルートであろうと思い、二人で登ることにした。スズ竹と灌木の入り混じった非常に歩き難い道である。なんとか尾根に出るとダケカンバの枝の高い所にピンクテープがいくつか見られるようになった。残雪期に登った人が付けたのであろう。
三角点のある山頂で少し休憩した。ヘリコプターが上空を飛び回っている。後で聞いたところ2~3日前に行方不明になった人を捜索中とのことだった。スズ竹のない場所からはピンクテープが見えるが、藪の中に入ると空が見えなくなりピンクテープを確認できない。私はいつも登るときに時々振り返り、下りの景色を頭に入れたり、赤いマイテープを木に貼り付けて登るが、それができなかった。また、回りの風景も頭に入ってなかったし、最初から不安のある山だった。
山頂から少し下った所ですぐに迷った。右手にピンクテープが3ケ所あるのが見えたので、横に移動しようとしたが、下向きになったスズ竹の上は滑ってなかなか進めない。更に下った所で上下左右急坂の藪となり身動きが取れなくなった。頭上にヘリコプターが我々に気づきホバリングしていたが、お互いに連絡が取れない。しばらくしてヘリは行ってしまった。
一緒に登った川崎の人が無線機を持っていたのでCQCQSOSと何度も呼びかけるが応答なし。雨がポツリポツリと落ちてきて今日はここで野宿かなと思っていた時、携帯電話で110番したら岐阜県警につながった。リュックや帽子の色、私の携帯電話番号を伝えてヘリが来るのを待った。
16時頃ヘリが到着した。台風のような風が吹き降りてきた。大きな木の枝が張り出しているが吊上げできるのか心配した。隊員がひとりワイヤーで降りて来た。吊上げ用のベストを着て先に私がひとり吊上げられた。
ヘリには5人のチームが乗っている。パイロット、副パイロット、現場へ降りる人、ワイヤーの上げ下ろしをする人、吊上げた人をヘリの中へ引きずり込みヘリのロープに固定してワイヤーを外す人の5人である。私の次に隊員と川崎の人が一緒に上がってきた。助かった、良かった、と思った。