夏山の夜明けに空や山肌が赤く焼ける光景は荘厳で感動するが、真っ白な雪山がバラ色に染まるのも美しい。陰鬱な天候が続く冬山では朝焼けするような晴天は滅多に来ない。雪山がバラ色に染まった珍しい写真を紹介する。
2007年の4月上旬、学生時代の山仲間と栂池ヒュッテをベースにして天狗原、白馬乗鞍岳や栂池自然園をスノーシューで歩いた。
初日は各自持参のアルペン山スキー、スノー-シュー で天狗原へ。急斜面になると山スキーは裏面にシールを張っていても後滑りして、ジグザグに上らざるを得ない。足下が軽く急斜面でも直登できるスノーシューの方が早く上れる。
下りではスキー滑降組の方が断然早くなる。私たちスノーシュー組がヒュッテに戻った時にはもう部屋に入って酒宴を始めていた。
その日の午後、雪が激しく降り始め、視界が閉ざされてしまった。夜半、外を見ると雪は止んで星が瞬き、栂池周辺の山々が白く浮かび上がって見えた。
翌朝、目を覚ますと窓の外が明るく、白馬岳方面が赤く染まり始めている。急いで外に出ると、小屋周辺はまだ日が差していないが、栂池自然園を取り囲む白馬岳、小蓮華岳に朝日が当ってバラ色に輝いていた。単に朝焼けというよりドイツ語流にモルゲンロートと呼ぶ方がピッタリくる眺めだった。バラ色はしばらく続いたが段々と薄くなり、やがて真白な山並みに変わっていった。
 |
栂池の夜明け |
|
 |
小蓮華岳稜線のモルゲンロート |
朝食を済ますと全員スノーシューで栂池自然園散歩に出掛けた。広大な雪原を超え、小尾根を登って沢を回りこむと、最上部の展望湿原に飛び出した。
白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳の白馬三山、更に南に唐松岳、五龍岳へと続く大パノラマが展開した。後立山連峰はまだ冬山のように厳しい姿を見せていた。
 |
栂池自然園のスノーシューイング |
 |
白馬三山の展望 右から白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳 |