平成最後の日、2019年4月末、私の趣味の考古学の最後の論文「日本人の基層信仰の源流を探る-⑵縄文、弥生時代の神山を祀る遺跡の集成と分析-」を書き終えて、私はここ10年ほど続けてきた考古学の研究を終了することにした。
これからも考古学は続けようと思うが、私が定年退職後に趣味として始めた考古学を研究まで踏み込むことのきっかけになった“従来の通説に対する疑問”の解明を目的とする研究テーマは、今までまとめた論文で自分なりに一応けりをつけたので、これからは趣味の考古学に戻って楽しむつもりである。
60歳の定年退職時、あと10年間くらいは体力と気力を保てるだろうと想定して、その間に若い時からやりたかったが出来なくて心残りでいたことをやって過ごしたいと始めた考古学であった。しかし、途中から考古学の研究まで踏み込んだこともあって、結局、定年退職後17年過ぎ、後期高齢者の仲間入りをして、ようやくの一区切りである。
考古学の研究に踏み込んでからは、遺跡の遺物・遺構や遺跡の景観の写真撮影に全国各地を車で家内と一緒に回った。家内は安全運転の監視役である。その監視役から、“ブレーキが遅い、進路変更の前にきちんと後方を確認して、運転中は景色を見るよりきちんと前を向け”といった“ダメ出し”最近多くなってきた。また、歩きながら遺跡の撮影をする際に足がふらついて転んだりすることもあった。体力低下は明らかである。この辺が潮時と感じて、考古学の研究を終えることにした。
最後の論文を添付の出版案内チラシに示した単行本『日本人の基層信仰の源流を探る』(令和2年3月31日発行)で発表した後は、少し静かにして時を過ごそうと思っている。

神山調査中の筆者
参考資料:「日本人の基層信仰の源流を探る」チラシ